これからの時代に子どもが身につけるべき力とは、何でしょうか?
文部科学省では「論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成」を目的としています。それは2030年には日本で約79万人という深刻なIT(情報技術)人材不足が予測され、将来あらゆる業務で「プログラミング的思考」が要求されることによります。
今の子どもたちが社会に出るころ、プログラムを開発する技術はもちろん大事ですが、「論理的思考力、ねばり強さ、問題解決力、アイデアを形にする力、ITリテラシー、伝えるスキル」などプログラミングで鍛えられる経験が重要です。
ビジネスの現場ではAIやロボット、ビッグデータ、インターネット、メタバース、SNS、VRなどを駆使し、世界で売れるものを開発し生産しプロモーションできるか、世界中の企業と戦っていけるかが問われます。
2007(平成19)年にApple社の「iPhone」が発売される以前、15年前には現在の「スマホ」は存在しませんでした。15年後には雇用者の約 47%の仕事が自動化されると予測され、コンピュータを使って「新しい仕事を生み出す能力」が求められます。
IT大手のヤフーが社員全員にAI(人工知能)スキルの習得を求める方針を決め、GMOインターネットも新卒採用をAIなど高度スキルを身につけた人材に限定する方針を決定しました。現段階では先端的な企業に限った話題ですが、この動きは数年以内に確実に一般企業にも浸透します。「AIで何か変わるの?」などとのんびりしたことを言っていると、10年後には相当な苦難が待ち受けている可能性が高いでしょう。
世界では「途上国の子どもたちにプログラミングを教え、貧困から抜け出す」(リンクあり)取り組みが行われ、IT技術者の平均年収が1位のスイスが約1350万円、2位米国は約1200万円と、IT技術者=高収入という認識が一般化しています。
プログラミング教育はなぜ必要でしょうか?
米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏が、2011年8月のニューヨークタイムズ紙インタビューで
「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」と述べ話題になりました。
日本の教職員等の指導体制の在り方に関する懇談会提言でも、
「今の子供たちの 65%は、大学卒業時に、今は存在していない職業に就く。今後10~20年で、雇用者の約 47%の仕事が自動化されるといった予測もあるように、将来の変化を予測することが困難な時代を生きる子供たちに対しては、社会の変化に受け身で対処するのではなく、自ら課題を発見し、他者と協働してその解決を図り、新しい知・価値を創造する力を育成することが喫緊の課題である。」と述べています。
これから新しい仕事のほとんどはコンピュータを使ったものであり、仕事を動かすにはプログラムの知識が不可欠ですが、それは入口に過ぎません。その先には、「AIやロボット、ビッグデータ、インターネット、メタバース、SNS、VRなど」といった複合的な知識も問われます。「大は小を兼ねる」のごとく、子どものうちから基礎になるプログラミングを学ぶことで、「職業選択の幅」が広がります。
2020年度小学校、21年度中学校に続き、22年度は高等学校でプログラミング授業が義務化されました。
しかし… お子さんに「学校でプログラミングを習っているか?」聞いてみてください。
プログラミングを理解すると、何が身につく?
●物事を論理的に考えられるようになる
●情報を短時間で処理し、最大限に活用できるようになる
●最小・最短の作業で仕事をこなし、効率アップを図れる
●新しいものを生み出す想像力や創造力を培うことができる
●リーダーとしての資質を育むことができる など
引用「インドの小学校で教える プログラミングの授業」(青春新書インテリジェンス)
プログラミングできたら人生変わっちゃう!?
2023年6月30日NHKにて放送「漫画家イエナガの複雑社会を超定義 プログラミングできたら人生変わっちゃう?の巻」がNHK+でも見られます。ぜひご覧ください(2023/7/7まで)。今日スマホやパソコンで、音楽や動画を楽しめているのは、プログラミング・プログラマーのおかげ。実際、世界長者番付を見ても、元プログラマーが10人中7人並んでいます。日本でも優秀なプログラマー獲得はまったなし!トヨタや富士通、ヤマト運輸なども大規模なリスキリングを打ち出し、DX実現に向けた人材育成を目指しています。
2025年度から「大学入学共通テスト」で出題され、国公立大志願者は原則「プログラミング」を受験することになりますが、デジタルリサーチが2021年11月に行った調査で、83.1%の方が知らないと答えており、大変心配しております。
「高校の情報I」は1年生しかやらないため、選択しなければ2年生以降は学べません。情報の免許を持った教員が全国で少ないため、お子さんの状況を確認したほうがよろしいと思います。
先ごろ公開されたサンプル問題では、プログラミング言語を模した疑似言語が使われており、プログラミング言語の実践的な学習から本質的な考え方を理解しないと対策できません。いずれ高校入試にも出題されるでしょうが、都道府県間・学校間の情報教員数にばらつきが大きすぎ、教育格差が問題になっています。
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